貸主は仲介手数料がかからない?取引態様によって異なる賃貸契約の仲介手数料

2020.05.29
最終更新日:2020.06.01
貸主は仲介手数料がかからない? 

賃貸物件の不動産広告に、取引態様の表示があるのをご存知でしょうか。取引態様は不動産会社が取引をする上でどんな立場に当たるのかを表すもので「仲介」、「代理」、「貸主」の三種類があります。この取引態様によって不動産会社に支払う仲介手数料の有無などの条件が変わるので賃貸契約をする際、それぞれがどのようなものかを把握することが必須です。そこで今回、賃貸契約における取引態様の特徴と仲介手数料の違いを紹介します。

賃貸契約の際に必要な仲介手数料とは

賃貸契約の際に必要な仲介手数料とは

賃貸の物件を探すときや、貸主(大家さん)が入居者を探す際、不動産会社を頼る方がほとんどではないでしょうか。不動産会社は、借主の希望条件に合った物件や内覧の案内、貸主との取引、契約書類の準備と手続きなど賃貸契約までの様々なステップを手伝ってくれます。そうした一連のサポートに対して成果報酬として支払うのが仲介手数料です。

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料は不動産会社への成果報酬なので、賃貸契約が成立した場合にのみ支払います。不動産会社によっては契約を締結するまでに支払わないといけないこともありますが、これは一時預かり金に相当するので、万が一、契約が成立しなかった場合、不動産会社は速やかに返金しなければなりません。

取引態様による仲介手数料の違い

取引態様による仲介手数料の違い

仲介手数料は賃貸契約が成立したからといって、必ずしも不動産会社に支払う訳ではありません。不動産会社がどの立場に相当するのかを表す三種類の取引態様によって、支払いの有無、貸主(大家さん)と借主のどちらが払うのかなど、仲介手数料の条件が変わってきます。まずは、取引態様それぞれの特徴を把握しておきましょう。

賃貸契約における取引態様、仲介とは

不動産会社が貸主(大家さん)と借主の間に立ち、入居者募集から賃貸契約が成立するまでの業務を行う場合、取引態様は仲介となります。

仲介の場合の仲介手数料

不動産会社の取引態様が仲介の場合、借主の希望条件に合った賃貸物件を一緒に探す他、内覧への案内、契約書類の準備と手続きなど賃貸契約までの様々な業務を行ってくれます。こうした手順の結果、賃貸契約が成立した場合、その成果報酬として仲介手数料が必要になります。

仲介手数料は誰が支払うの

仲介手数料は貸主(大家さん)と借主が、仲介をしてくれた不動産会社に支払います。しかしながら、依頼者(借主)の承諾があれば、不動産会社はどちらか一方のみから、受け取ることができるとなっています。

法規制と重要事項の説明は

この場合、宅地建物取引業法が適用される取引となり、不動産会社は借主に重要事項説明書を交付し、契約物件の詳細や契約条件などの重要事項を説明する義務があります。

賃貸契約における取引態様、代理とは

不動産会社が貸主(大家さん)から委託され、入居者募集から賃貸契約の締結まで行う場合、取引態様は代理となります。仲介の場合は不動産会社が貸主の名義で契約を代行しますが、代理の場合は貸主と同じ立場になるため、不動産会社名義で契約をします。

代理の場合の仲介手数料

取引態様が代理の場合、不動産会社が貸主(大家さん)の立場として、賃貸契約までの様々な業務を行ってくれるので仲介手数料が必要になります。

仲介手数料は誰が支払うの

この場合、仲介手数料を支払うのは不動産会社に業務を委託した貸主です。ただし、まれに借主から依頼され代理人として契約を行うときがあります。その場合、借主が仲介手数料を支払うことになります。

法規制と重要事項の説明は

取引態様が代理の場合も宅地建物取引業法が適用される取引となるので、不動産会社は借主に重要事項説明書を交付し、賃貸する物件の詳細や契約事項など、重要事項を説明する義務があります。

賃貸契約における取引態様、貸主とは

不動産会社が賃貸物件を自ら所有し借主に貸し出す場合、取引態様は貸主となります。個人や法人が直接入居者を募集することがありますが、あまり例がありません。

貸主の場合の仲介手数料

取引態様が貸主の場合、不動産会社が借主に直接物件を貸し出すので、仲介手数料は発生しません。

法規制と重要事項の説明は

この場合、宅地建物取引業法が適用されないので不動産会社の業務において法規制はなく、借主への重要事項説明書の交付と重要事項を説明する義務はありません。ただし、トラブルを回避するため、家賃の支払い方法や修繕が必要になった場合の対応などの契約内容をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

〈不動産会社の取引態様による仲介手数料などの違い〉

取引態様    取引内容  仲介手数料 宅地建物取引業法の適用 重要事項の説明
仲介 不動産会社が貸主と借主の間に立ち、賃貸契約までの業務を行う 原則として貸主と借主が支払う必要あり 適用あり 重要事項説明書を交付し、説明をする義務あり
代理 不動産会社が貸主(もしくは借主)から委託され、賃貸契約まで行う 貸主もしくは 借主が支払う必要あり 適用あり 重要事項説明書を交付し、説明をする義務あり
貸主 物件を所有する不動産会社(もしくは個人、法人)が直接貸し出す 必要なし 適用なし 義務なし

法規制による仲介手数料の上限

宅地建物取引業法により不動産会社が受け取れる仲介手数料には上限があり、家賃一ヵ月分+消費税と決められています。万が一、不動産会社が上限を超える仲介手数料を受け取った場合、法令違反となります。

取引態様が仲介の場合

貸主(大家さん)と借主それぞれが、家賃半月分+消費税以内の仲介手数料を支払うのが原則です。ただし、借主が承諾した場合は、どちらか一方が家賃一ヵ月分+消費税以内の仲介手数料を支払うこととなっています。慣例として、借主が一ヵ月分+消費税以内の仲介手数料を支払っているのが現状です。

取引態様が代理の場合

不動産会社に業務を委託した貸主(大家さん)が家賃一ヵ月分+消費税以内の仲介手数料を不動産会社に支払います。借主が不動産会社に業務を委託した場合は、借主が払います。ただし、もう片方も支払う場合、合計額が家賃一ヵ月分+消費税以内でなければなりません。

まとめ

貸主仲介手数料

ここまで、賃貸物件の契約における仲介手数料と、不動産会社の取引態様によって異なる支払いの有無や法規制などについて説明してきました。仲介手数料は借主だけが支払うようなイメージがありますが、実は貸主(大家さん)が支払う場合があることもわかっていただけたのではないでしょうか。

賃貸物件の借主にとって取引態様は大変重要です。賃貸物件を探す際には、まず取引態様についてしっかりと把握し、不動産広告で気になる物件を見つけたら、どの取引態様に相当するのか確認するようにしましょう。